産業医とは
企業で働く産業医
企業の中で、従業員の健康を管理するために働く「産業医」と呼ばれる医師がいます。
公益社団法人東京都医師会によれば産業医とは
「事業場において労働者が健康で快適な作業環境のもとで仕事が行えるよう、専門的立場から指導・助言を行う医師」
とあります。
産業医の選任は、労働安全衛生法などの法律によって、一定規模以上の事業場には必ず義務付けられています。
よって、実際に企業の中で働いている人ならば、ほとんどの人がこの「産業医」と呼ばれる医師にお世話になっているのではないでしょうか。
現代の日本では、医師不足が嘆かれていますが、産業医もまた不足しているといわれています。産業医は、医師であるうえにさらに「産業医」としての資格が必要です。
しかし、2007年の厚生労働省の報告によれば、全国の医師30万人の中で、産業医の資格を持つ医師は約7万人なのに対し、産業医が必要な事業所は16万件にも上るというデータがあげられています。
そのため、一人の産業医がいくつもの企業と契約を結んでいるというケースも珍しくはありません。
むしろ、一人の産業医がひとつの企業に専属産業医として勤務するケースはまれで、ほとんどの産業医は、自身の医院を開業していたり、どこかの病院に勤務しています。
このように従来の医師業務の傍らに産業医としての業務をこなす医師は「嘱託産業医」と呼ばれています。
産業医のやりがい
従来の医師と違って、産業医の仕事は、従業員の健康管理が主となります。そのため、通常の病院では行うのが難しい予防医学的なアプローチが可能です。
職場の環境をチェックしたり、従業員の健診結果をチェックすることで病気になるリスクを軽減していくというやりがいがあるといいます。
ただし、病院の場合は、病気になった人が医師に相談をするという流れで医師と患者の関係を築くことができますが、産業医の場合は病気になっていない人に対してアプローチをしなければならないということがほとんどです。
そのため、余計なお世話ととられてしまうことも多く、高いコミュニケーション能力が要求されます。